【コラム】代表の松村が研修事業を始めたきっかけ(3)<雇用される力とは?編>

こんにちは!アビリティ広報担当の長谷川です。
弊社代表の松村(旧姓:幸松)の研修にかける想いについて聞いてみました。

➖(前回までの話を振り返って)
仕事でハードな場面が多くて成長できたのだとしたら、そのような場面をまだ経験していない人はどうやって成長すればいいのでしょうか?

松村
私の研修では、受講生のみなさんに「雇用される力」を身につけてほしいと思い、エンプロイアビリティの考え方を取り入れています。
自分自身にどのようなスキルが必要か?どんなマインドが必要か?
私が最初に仕事に就いた20代の頃よりも、遥かに変化の激しい時代ですので、昔よりも「雇用される力」が重視されます。
いつどこで世の中がガラリと変化しても、時代を読み、自分のスキルやマインドを常にアップデートする力を身につけてほしい。
どんな職場でも活躍できる、サバイブできる能力を身につけてほしいのです。

➖「雇用される力」は研修で身につくものなのでしょうか?実体験を通してでなければ身につかない気もします。

松村
「7・2・1の法則」で提言されているとおり、人の成長の7割は「仕事上の経験から」と言われています。
残りの2が「上司や先輩からのアドバイス」残りの1が「研修などの学びの場」です。
では、7割の「仕事上の経験」があれば勝手に成長するのかというと、そう簡単ではありません。
「経験をまわす」とも言いますが、「経験したあとにしっかり内省する」のがポイントです。
日本人は「反省」が好きなので、失敗をすると「なぜ失敗したのか」を考え、上司からも詰められる・・・
もちろん反省も大事なのですが、上手くいったことからも学んでほしいのです。
「なぜあの壁を乗り越えられたのか?」「なぜあのプロジェクトは上手くいったのか?」
そのためには、心理的に安心できる場で自分の経験を話したり、人の経験を聞いたりすることで、自分がその経験から何を学んで次回はどうやっていけばいいのかという、いわゆる「仕事をコツ化」していくことが重要だと考えています。

自分なりのコツが掴めれば、次回、新たなチャレンジもできそうですよね。もちろん、どんな経験をするかということも重要です。

➖研修が「内省の場」になるということでしょうか。

松村
当社のフォローアップ研修は、入社しておおよそ半年〜1年未満の受講生を対象に行なっています。
新人研修で学び、実際に配属されてからの数ヶ月間、仕事に取り組む中で「上手くいったこと/上手くいかなかったこと」を振り返り、講師や一緒に学ぶ受講者と検証していくことで気付きを得ます。
「自分自身が実際に体験したこと」をもとに検証していきますので、新入社員研修よりもさらに深い学びとなり、企業様からも高い評価をいただいています。

➖社内で「内省の場」を持つことは難しいのでしょうか

松村
内省は、自分で上手くできる人もいますが、そのためには訓練が必要です。
キャリアコンサルタントとして、多くの方の話を伺っていると、みなさん、自分で話をしながら自分がどうありたいのかに気づいていかれます。
気づきを促すには、その人が大事にしている価値観を承認し、共感しながら聴いていく伴走者が必要です。
私もキャリコンサルタントの資格試験でガッツリ「伴走者としての訓練」を行いましたが、それを社内で行うとなると少々ハードルが高いかもしれませんね。

1on1セッションなどを取り入れている企業様もありますが、「なかなか上手くいかないんです・・・」というお悩みも聞きます。
なぜなんだろう?と考えると、私自身もそうなのですが、自社の社員、特に身近な部下となると、
ついつい「そんなことで悩んでも仕方がない」
「そんな小さなことを気にしてたの?」
「なかなか気づいてくれないな」
「日頃の態度が気になる・・」
という思い込みや解釈、部下としてこうあるべき、自分もそうやって乗り越えたからやればできる、できないのはやってないからだ!という気持ちがムクムクと湧いてきます。

その気持ちがストレートに出ると、上司や先輩は厳しく指摘しすぎてしまう。

今は役職が上がるほど仕事に忙殺されますので、指導どころではなく、新人を放置してしまうこともあります。
会社のことを第一に考え、常に売上を追いかける立場にあれば、そうなるのは当然です。
また、仕事ができる上司ほど、部下も自分と同じくらいできて当たり前、
「なんでこんなことすらできないんだ?」
「できないのは、やらないからだよね」
「努力はちゃんとしてるの?成果が出ないのは努力が足りないよね」と考えがちです。

かつては私もそうやって部下のことを責めていました。みなさんも心当たりがあるのではないでしょうか 笑

➖成長スピードは人それぞれなのに、できる上司と同じだと思われたら辛いですね

松村
そうですよね。
新入社員側も上司の顔色を窺いながら「こんなこと言ったら怒られるんじゃないか?」「呆れられるんじゃないか?」と不安に感じていますので、なかなか社内で本心を話したり相談したりというのは難しいのです。
同期同士で相談したり励まし合うこともありますが、同じ部署で近すぎる存在だと比較される対象になりますし、そもそも同期がいない場合もあります。
当社のフォローアップ研修では、ビジネス上の付き合いがない研修講師や、同じ境遇の他社の新入社員同士で自分の思いを伝えたり、話を聞いたりすることで、多くの気付きを得ていきます。

➖フォローアップ研修を終えたあと、いつも受講生をどんな気持ちで送り出していますか?

松村
先程、経験の質の話をしましたが、少しだけ背伸びをして目標を掲げ、その目標に向かっていろいろなことにチャレンジして欲しいと思っています。
あらゆる人に出会い、たくさん経験をして、壁にぶつかっては落ち込んだり、凹んだり、時には立ち上がれなかったりすることもあるかもしれないけれど、自分が持っている力を信じて立ち上がって欲しい。半歩でもいいから前に向かって進んで欲しいと願っています。

私自身もそうですが、仕事を通して人間性が磨かれることってありませんか?
「あの経験があったから人に優しくなれた」「自分一人で仕事をしていると思い上がっていたけれど、誰かの力があって自分があるんだ」と気付けたり。
心の内面の成長をしただけ、新しいステージのチャンスが巡ってきますので、単に「仕事ができる人を育成する」だけではなく「人間的成長のお手伝い」ができればと考えています。ちょっと暑苦しいですかね? 笑

エンプロイアビリティを高めれば、自ずと自己肯定感も高まり、ちょっとやそっとのことで折れない若者になれます。
そういう人になってほしいと願いながら、毎回、暑苦しい研修をして、みんながんばって!行っておいで!の気持ちで受講生を送り出しています。